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特定生殖補助医療法案が廃案に――いま精子提供の現場で起きていること

精子提供に関わるルールづくりがようやく動き出すかと思われた矢先、超党派が提出していた「特定生殖補助医療法案」は今国会での審議入りが見送られ、事実上の廃案となりました。同性カップルや事実婚を対象外にしている点などで意見がまとまらず、立憲民主党と共産党が審議そのものに反対したためです。自民党の石井準一参院国対委員長は「今国会中は無理だ」と明言し、継続審議もしない見通しを示しました。

なぜ法案は止まったのか

  • 提供対象に法律婚のみを想定し、LGBTQ+や選択的シングルマザーを排除
  • 「出自を知る権利」の扱いが不十分との指摘
  • 審議時間の不足――他法案が詰まったまま閉会が迫った

法律が整わないままでも、現場は止まりません。クリニックや民間バンクは独自のガイドラインを更新して、利用者と子どもの権利を守ろうとしています。

クリニック主導の「第7版ガイドライン」施行

はらメディカルクリニックは6月1日付で『精子提供による生殖補助医療ガイドライン』第7版を公開しました。最新版では**IVF-D(体外受精+非匿名ドナー精子)**を正式に章立てし、「子どもの告知を必須」と明記。近親婚回避のチェックを強化し、提供者・受療者双方にeKYC(オンライン本人確認)を義務付けています。

「非匿名精子バンク」への注目度が急上昇

3月には都内クリニックが“国内初の非匿名精子バンク”として大手メディアの取材を受けました。「闇取引をなくし、出自を知る権利を守る」という理念を掲げ、登録ドナー2名が顔出しで動機を語ったことで話題を呼び、問い合わせが急増しています。

これから備えるべきこと

  • 法整備の行方を注視:廃案で終わりではなく、次期国会や有志議員の動きがカギ
  • ガイドラインの読み込み:クリニックごとの要件や同意書類は年々アップデート
  • 情報開示の準備:非匿名・半匿名を問わず、将来の告知シナリオを家族で共有

法が整わない空白の時間帯こそ、安全で透明な仕組みを選び、ドナー・受療者・子ども三者の信頼を積み上げることが大切です。

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