不妊は「女性側の問題」と思われがちですが、男性要因が関与するケースはおよそ半数あります。まずは精液検査で現状を正しく把握し、生活改善・再検査・治療、そして必要に応じて提供精子の活用までを視野に入れて、現実的な妊娠戦略を立てていきましょう。基礎知識は、先にこちらもどうぞ → 不妊体質とは?男性不妊・女性不妊の傾向と可能性
精液検査は以下のような指標を中心に評価します。評価は単項目ではなく総合判断が基本です。
ポイント:TMSC(総運動精子数)や複数指標の組み合わせで妊娠可能性を考える方が、単一数値より実務上は有用です。
これらは自然妊娠を難しくし得る所見ですが、程度や背景によって対応は異なります。1回の検査で決めつけず、間隔をあけて再検査を行うのが定石です。
以下のようなケースでは、提供精子を早めに検討してもよい局面があります。
重要:提供者の精子を「一律に◯倍良い」と断定はできません。実際には、第三者機関の検査で主要指標(総精子数・運動率・形態など)が安定して良好であることが確認されている──という意味で選別済みの質と表現するのが適切です。選ぶ際は最新の検査成績と再現性(複数回の所見)を重視しましょう。
個人間で進める際の安全・契約・法的ポイントは → 精子提供は違法?日本で安全に進める方法【費用・法律・検査・契約】
Q1:正常形態率が低いです。致命的?
A:単項目で判断せず、TMSCや運動率、反復検査の所見と合わせて総合評価します。
Q2:どのくらいで再検査するべき?
A:生活改善や発熱などイベント後は2〜3か月以上空けて再検がおすすめです。
Q3:ドナー選びで確認すべき項目は?
A:最新の検査成績(総精子数・運動率・形態・可能ならDFI)、検査日、反復性、検査機関の信頼性、性感染症検査の有効期限、合意書の内容。
世界保健機関(WHO)が実施した、精液の質に関する大規模検査結果は以下です。
それぞれの項目をWHO検査結果と照らし合わせてみます。単位はWHO検査結果に揃えています(端数は四捨五入しました)。妊娠率に寄与する特に重要なスコアは、総精子数(精子の総量)、総運動率(「動いている=卵子に向かえる」精子の割合)、精子正常形態率(「奇形でない=正常な胚になる確率の高い」精子の割合)であり、これらの項目を赤文字で表現しました。
| 検査項目 | 検査結果 | 上位何%か |
| 精子濃度(百万/ml) | 103 | 25-50% |
| 精液量(ml) | 5.1 | 10-25% |
| 総精子数(百万/射精量) | 525 | 10-25% |
| 総運動率(%) | 61 | 25-50% |
| 総運動精子数(百万/射精量) | 320 | 項目なし |
| 精子正常形態率(%) | 85 | 2.5% |
| pH | 7.2 | 項目なし |
全ての項目は上位50%以上に位置しています。精液量、総精子数は上位1〜2.5割のスコアであり、特に高いです。精子正常形態率は85%と突出して高く、上位2.5%未満とトップクラスの値を誇っています。実際に、1回の提供で妊娠したケースも多数あります。
医師からも「この数値なら妊娠確率は極めて高い」と助言を受けました。精子提供の依頼をするかどうかを決めるときの参考にしていただけると幸いです。
首都圏からアクセスしやすいこともあり、東京都からのご依頼が多く寄せられています。もちろん全国からのご相談に対応しておりますので、遠方の方もお気軽にどうぞ。