「努力が報われると自信に繋がる」。これは、私たちが例外なくたどる自尊心を育てる方法です。受験、スポーツ、就活……私たちは人生の中で度々「努力」をし、それを「達成」することで自尊心を養っていきます。ときには失敗して挫けそうになりますが、挫折を乗り越えて人は強くなっていきます。
しかし、10年間かけ、1000万円使って挑戦し続けて失敗続きだとしたら、あなたはどう感じるでしょうか？ 「流石に心が折れてしまう」と考える方がほとんどだと思います。不妊治療でそれはしばしば起こるのです。
このような長期の失敗と、それに伴う時間的・経済的・精神的負担は、自尊心を著しく傷つけます。「他の人は成功してるのに、自分だけなぜ」となり、自分の価値を信じられなくなります。パートナーに問題がある場合、「パートナーを恨んでしまう自分の心は醜い」という苦しみが生じることもあります。
不妊は「時として」と言いましたが、実際には「多くの場合」人の心を傷つけます。不妊に対するケアを厚くするだけでなく、養子縁組、精子提供／卵子提供（配偶子提供）のような代替措置を広く認めることが重要です。