「ある精子提供者が多くの子どもを作ると、将来的にそれらの子どもが知らずして結ばれ、近親婚になってしまうのではないか」という懸念は古くから存在します。
結論から言うと、そのような危険性は考慮に値しません。以下のモデルでそれを証明します。
以下は「近親婚(主に兄妹・異母兄妹・異父兄妹間の結婚)の確率」を「精子ドナー由来の子どもたちが将来偶然出会って結婚するリスク」としてモデル化するものです。
以下の仮定を置き、確率計算を行います。
任意の2人が結婚するとき、その2人が同じドナーの子どもである確率を求める。
P = (n / N) × ((n – 1) / (N – 1))
ただし N = 1.2 × 10^8(人口)
ドナーの子数 nnn | リスク(確率) PPP |
---|---|
10 | 約 6.25 × 10⁻¹⁵ |
100 | 約 6.25 × 10⁻¹³ |
1,000 | 約 6.25 × 10⁻¹¹ |
10,000 | 約 6.25 × 10⁻⁹ |
※これは「ランダムな結婚1件」において兄妹婚になる確率
仮に一生に一度の結婚が6000万組(=1億2000万 ÷ 2)あると仮定した場合:
さらに地域偏り・年齢偏りを加味するとリスクは数倍〜数十倍高まる可能性があるが、基本的には1000人以下に子どもの数を制限すれば限りなく低い。
以上でわかる通り、1000人に提供してもリスクは極小です。交通事故や事件に巻き込まれるリスクの方が圧倒的に高く、リスクはゼロと断言しても過言ではありません。当然日本には1000人子どもがいるドナーはいませんし、100人ですらほぼいないでしょう。したがって近親婚のリスクは気にする必要はありません。