医療機関と正式に提携した民間の精子バンクが設立されました。不妊に悩むカップルにとって朗報です。
上記記事の下部にもある通り、SNS等を通じた個人間提供は様々な問題を抱えています。そのため、私は個人間提供の段階的廃止が良いと考えており、今回の件はその第一歩と言えます。科学的根拠に基づいた、透明性のある公平な仕組みで十分な量のAIDが行われるようになれば、個人間提供はほぼ完全に不要となるでしょう。
しかし、まだ上記バンクは設立間もないため、現状の仕組みが全く問題ないわけではありません。まず、不妊カップルのみを対象としており、同性愛者(レズビアン)や選択的シングルマザーを対象としていないことです。しかしこれは現在の政治的状況ではやむを得ないことでもあります。もし今同性愛者や選択的シングルマザーを対象にすれば、反対派や問題と感じる人が相次ぎ、バンクの運営自体が成り立たなくなる可能性があるからです(これは以前の記事にも書きました)。まずは不妊カップルで実績を作り、段階的に同性愛者や選択的シングルマザーを対象に加えていく形を取るのが無難でしょう。
費用面でも決して安価ではなく、一回あたり15万かかると記事には書かれています。これは体外受精より安く、人工授精より高いです。1回あたりの平均妊娠率を10%とすると、15/0.1 = 150万円平均でかかる計算です。当然、女性が不妊体質であればより高額となります。
上記金額をどう考えるかは人次第ですが、待ち時間やドナーと対面で会うことができないことも考慮すると、SNS等の個人間提供に頼る人は当面はいなくならないでしょう。個人間提供であれば、1回あたり高くても数万で済み、待ち時間もほぼなく、ドナーと対面も可能だからです。個人間提供には様々なリスクが伴いますが、それでも前記のメリット、民間精子バンクとデメリットを勘案して個人間提供を選ぶ人は十分多くいるでしょう。これに対してどのような対策を民間精子バンクが取っていくかが今後の焦点の一つとなりそうです。